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いものになってしまいます。
そういった精神的な部分だけではなしに、これもアメリカの場合によくある事ですが、例えば専業主婦が子ども達の手がちょっと離れたので、いろいろなボランティア活動をし、そこでキャリアの第一歩をもう一度歩き出す。例えば会計責任者として年間何万ドルの予算を裁量しましたとか、昔職業婦人としてしていた事をボランティアとしていろいろな資格で働く事により、もう一度ブラシアップする(錆付いていた能力をもう一度磨き直す)というような形で再出発をしていく際の1つの準備期間にする。又、履歴書にボランティア活動を書くことにより評価され自分に対する報酬という形で返ってくることが、社会がプラスを得るだけではなしに個人にも大変プラスを得るという例はこれから増えていくのではないでしょうか。
●ボランティアの問題点(持続性・専門性・効果性)
この様に言いますとボランティアというのは良い事ばかりに聞こえますが、勿論問題点もあります。
1つは無償性や自発性というような事を重んじるあまり、いざという時には駆けつけても、それを3ヶ月、6ヶ月、1年続けるということはなかなか大変な事です。
例えば気の毒なお年寄りがいて、負担にならない範囲で思いついたときに声をかけるだけでは、頼りにならない。如何にそういう善意をきちんと持続したものにするのか。
或いは又、いくら善意があっても本当に役に立たない事しか出来ないというのでは困る
わけで、きちんと相手に届くような効率性が必要です。効率というと最近はイメージが悪くなっていますが、効果のある活動が出来ることを意味する効果性という言葉にした方がいいかもしれませんが、エフィシェントにきちんと相手の必要としているものを提供する能力があるかどうか。いくら善意はあってもそのような専門的な能力、相手のニーズにきちんと応える力が無かったら空回りで終わってしまうのではないか。
そして又、個人で専門性を身につけるというだけではなしに、組織やグループ全体として如何にマネージメントしていくのか。マネージメントは、効率的に人を組み合わせてチームを作り、チームのこの人が出来る時間は1週間のうちに1時間だ。1時間の人を何十人か集めて1つのチームにする、というような事をきちんと効率的にマネージメントをしていく事が大変大事なのではないでしょうか。
ところが日本人というのは終身雇用、年功序列で会社に義理を感じている人達を上手に働かせるようなノウハウ(日本的経営)は大変上手だったかもしれませんが、自発性をもってよい事をしたい、社会の役に立ちたいというような人を効果的に1つのチームに作りあげて必要とする場合に、その能力を発揮してもらうといった部分では非常に未熟で、残念ながらまだまだそこの部分は発達していないのです。
●これからの課題
おそらく今日もパネルディスカッションや次の基調講演の中で、ボランティアの方達が善意を持って行う事を社会に効果的に役に立たせていくのか、或いは持続性を持ってやり、

 

 

 

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